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みなかみ’s blog

忘備録と整理のために

佐々木卓也(2011)『冷戦ーアメリカの民主主義的生活様式を守る戦い』

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//佐々木卓也(2011)『冷戦ーアメリカの民主主義的生活様式を守る戦い』有斐閣


/本書の概要
佐々木は冷戦史の起源・展開・終結を検討するために、主にアメリカが展開した外交政策の史的過程を基本に論を展開している。佐々木は冷戦期アメリカの外交政策が形成される要因として、①アメリカの伝統的な外交、②アメリカ国内社会・政治の反映、③冷戦の展開への応答を挙げ、すなわち、冷戦期アメリカの外交政策は、国内における社会の反応や政治闘争、時々の国際政治における各国の外交政策の影響を強く受けると同時に、アメリカ合衆国建国時から継承される根本的なアメリカ的な理念が相互に影響しあい形成されたとする。つまり、こうした要素から形成された外交政策が冷戦期にどのように展開されたかを追うことで、佐々木は冷戦とは何だったのかという疑問に応答しようとしているのである。
それでは、佐々木は冷戦をどのように定義しているのだろうか。佐々木は冷戦がヨーロッパの勢力均衡に代表される従来の戦争と比較して特異であることを強調し、冷戦の定義を試みている。アメリカの見地に立つと、冷戦は「アメリカ的な生活様式」を守る戦いであり、米ソの普遍的なイデオロギーをめぐる戦いであったと佐々木は定義づける。旧来の戦争は当事国の政治権力の正統性を問うものではなく、領土・金銭・権益のやり取りを通じて戦後処理を行い、同盟関係を国際政治情勢に応じて臨機応変に転換するものであったことを考えると、イデオロギーの正統性、すなわち国家体制を規定する思想の正統性に固執した冷戦は特異であった。また、対立の主要な当事国であった米ソが直接的な交戦状態に突入しなかったこと、そのうえ、世界的に展開された戦争であったことも特異であった。つまり、冷戦は全世界を舞台とする、直接的な戦闘を伴わない、権力政治とイデオロギーが交錯する米ソの二重の闘争であったと冷戦を概観したのである。
こうした冷戦観と分析手法に基づいて佐々木は、1991年のソ連崩壊までの期間を対象として冷戦を描くのである。